XSR900 GP

レーシングマシンを思わせる外観

XSR900 GPは、1980年代のヤマハワークスマシンをモチーフにしたデザインが特徴です。角張ったゼッケン風の塗り分け、小ぶりなロアカウル、ナックルバイザーなど、かつてのYZR500をほうふつとさせるディテールが随所に採用されています。往年のレーサーを思わせる一体感のあるシルエットに、現代的な構造が加わり、クラシックとモダンが融合した独特の雰囲気を生んでいます。

丸目ヘッドライトではなくカウルで覆ったフロントまわりの印象も大きく、従来のXSRシリーズとは明確な差異があります。レッドを基調としたボディカラーは、当時のレースシーンを意識した配色です。外観は見た目のインパクトだけでなく、空力面にも配慮されており、走行中の安定感にも貢献します。細部にまで丁寧な造形が施されており、所有する喜びを感じさせてくれるモデルといえます。

多彩な制御と装備で快適な操作性

XSR900 GPには、幅広いシーンで快適に走れる電子制御技術が搭載されています。6軸IMU（慣性計測装置）によって車体の動きを高精度で検知し、トラクションコントロールやスライドコントロールなどの走行支援システムを統合的に制御。安定感のある走行をサポートします。

クイックシフターはアップ・ダウンの両方向に対応し、変速のスムーズさを確保。クルーズコントロール機能も標準で備わっており、長距離の移動時にも疲れにくい設計です。メーターには5インチのTFTディスプレイを採用し、情報が見やすく整理されています。

車体設計も走行性能に直結しています。セパレートタイプのハンドルや見直されたステップ位置により、自然な前傾姿勢を取りやすく、コーナリング時の安定性にもつながっています。電子制御と車体バランスの調和が取れており、ライダーに安心感と高い操作性を提供します。

ベースモデルとの違いは仕様に反映

ネイキッドスタイルのXSR900をベースに開発されたXSR900 GPは、よりスポーティな性格を持たせた仕様です。ハーフカウルとセパレートハンドルの採用により、空力性能の向上と前傾寄りのライディングポジションが両立されています。

サスペンションも専用品が搭載されており、KYB製のフルアジャスタブル式により細やかな調整が可能です。足まわり全体の剛性も高められ、ブレーキフィーリングやコーナリング性能に違いが出ています。結果として、同じエンジンを搭載しながらも、乗り味はまったく異なる印象です。

デザインや操作性、そして全体の設計思想においても、XSR900とは別モデルと捉えられる完成度を備えています。どちらを選ぶかは、好みのスタイルや重視する走行シーンによって分かれるところでしょう。