GSX-8S

スズキロゴ

低回転から高回転までスムーズな出力特性

GSX-8Sには、スズキが新たに開発した776ccの並列2気筒エンジンが搭載されています。270度クランクの採用により、Vツインのような鼓動感とスロットルレスポンスが共存。日常域ではフラットなトルク感で扱いやすく、高回転域では力強く吹け上がる仕上がりです。

注目すべきは「スズキクロスバランサー」と呼ばれる独自のバランス機構です。一次バランサーを2軸直交配置することで、振動を効果的に抑制。これにより、エンジンはコンパクトにまとまり、車体の軽量化にもつながっています。

最大出力は59kW(80PS)、最大トルクは76N・m。トランスミッションは6速で、スズキクラッチアシストシステム(SCAS)を搭載しています。クラッチ操作の軽さが際立ち、街乗りや渋滞時でもストレスを感じにくい設計です。スムーズな加減速をアシストし、ライダーの技量に左右されにくい安定した走行感が得られます。

排気量と装備で見るライバルとの違い

GSX-8Sのライバルには、ヤマハのMT-07やホンダのCB650Rが挙げられます。MT-07は689ccの並列2気筒エンジンを採用し、軽量かつ取り回しに優れた特性で知られています。2024年モデル以降はEuro5+規制に対応し、ライドバイワイヤも新たに導入されました。一方、CB650Rは648ccの並列4気筒エンジンを搭載し、最大出力95.17PSを誇る高回転型のキャラクターです。

GSX-8Sは排気量ではライバル車を上回りながら、最大出力は80PSと中庸な設定。出力よりも実用域のトルク特性を重視しており、街乗りとツーリングのどちらにも対応しやすいバランスに仕上がっています。特に扱いやすさを求めるライダーには、過不足のない仕様といえるでしょう。

装備面でも優位性があります。GSX-8Sはアップ/ダウン対応のクイックシフターを標準装備。MT-07ではオプション、CB650Rでは別売のことが多く、この点は価格帯を考慮しても注目すべきポイントです。

メカニカルな美しさを追求した設計思想

GSX-8Sの開発コンセプトは「機能美の新時代」。無駄を削ぎ落とした外装デザインが特徴で、フレームやシートレールなどの構造部品をあえて見せるように設計されています。このメカニカルな美しさは、視覚的な軽快さにもつながっています。

マスフォワードのシルエット、低く構えたフロント、引き締まったショートテールなど、全体のフォルムも力強く、都会的な印象を与えます。ヘッドライトまわりの造形やタンク形状にも個性があり、遠目でも存在感を放つデザインです。

電子制御面も充実しています。トラクションコントロール、スズキドライブモードセレクター(SDMS)などを搭載し、走行シーンに応じた特性の切り替えが可能。走りの性能とスタイリングを高次元で融合させた1台です。